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『夜想曲集』を読む、といいつつ『私を離さないで』を強くすすめる

よく聞かれる質問。「そんなに忙しくて、いったい、いつ本を読んでいるんですか?」。ええ、謎ですねえ。自分でも。

1、読みたいときに集中して、読みきってしまう(話題の単行本パターン)
2、通勤やカフェに入ったときなど、合間や隙間にちょこちょこ読む(新書、文庫本パターン)
3、旅行や出張など、移動時間にひたすら読む(歴史モノ、長編など)
4、マンガは別腹(寝る前にマッサージチェアに座って)

これらを同時平行しています。ちなみに、今、パターン2では、『沈まぬ太陽』(山崎豊子)を読んでいます。

さて、本題。

好きな作家、カズオ・イシグロ。今回は、イシグロの初めての短編集で、あちこちの書評で紹介されている『夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる5つの物語』です。

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 Book 夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

著者:カズオ・イシグロ
販売元:早川書房
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映画化された『日の名残り』ではないですが、カズオ・イシグロらしい、“人生の夕暮れどき”を描いた5つのストーリー。1曲聴くように、1章を読み終える静かな楽しみがあります。

長年連れ添った夫婦、老歌手、もう若くないが一念発起する男、誰も知らないけれど大物らしいチェリスト。
年齢を重ねた人というのは、人生も複雑だし、「ひとすじなわではいかない」ものです。それぞれの生き方を、いまさらはかえられない人々。

物語は静かに流れ、人生は大きくうねる。そんな感じかな。

翻訳で書かれているせいか、どこかに村上春樹臭がします。村上春樹の『トニー滝谷』みたいな、静かでちょっとつらく、ちょっとあきらめがある感じ。

(そう思いながら読んでいたら、この本にも「ヤナーチェク」がでてきてました。)

面白かったとは思うけれど、やはり短編は物足りなかったです。

じつは、私は長編『私を離さないで』のほうがずっとずっと面白かった。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Book わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

著者:カズオ・イシグロ
販売元:早川書房
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(↑この装丁、イヤだなあ。単行本のときのほうがよかった。)

私、以前にこちらの作品でブログ書いたように思ったけど、どうも書いていなかったみたいなので、ついでに。

介護人のキャシーの一人称で書かれたストーリーですが、「ハヤカワ」から出ていることに注目。これ、ちょっと悲しい、近未来が舞台です。

最初はカタカナの名前が多いし、「介護人」ってなんだかよくわかんないし、しばし、ガマンしてください。
話が進むにつれ、どうしようもないやるせなさや、切なさが。それを抑制の効いた、淡々とした文章(柴田元幸氏の翻訳力もあると思う)で描くことにより、かえって胸にしみてくるのです。

あまり予備知識を持たずに読んで欲しいです。ガーンとくるから。

なんとなく、手塚治虫の近未来マンガのような、あるいは、キャシャーンのような。「未来とその犠牲」という命題が見えてきます。

話と本の趣味が合いそうな人、ガチでおすすめです。

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