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夏の怪談におすすめ。杉浦日向子の「百物語」

百物語 Book 百物語

著者:杉浦 日向子
販売元:新潮社
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またまた読書ネタです。杉浦日向子さんといえば「お江戸でござる」などのテレビ番組でも活躍した江戸風俗研究家であり、「合葬」というマンガではどこかの出版社の賞もとっている人です。惜しむらくも、昨年7月、46歳という年齢でお亡くなりになってしまいました。
 もともと「合葬」ほか、私は彼女のマンガのファンで、最近になっていろいろ買い集めて読んでいるのですが、彼女の世界は、本当に江戸。「杉浦さん自身が、江戸時代からタイムスリップしてやってきた女性なのではないか?」と思わせるほど、花のお江戸の市井の人々を生き生きと描いているのです。著作の中でも歴史に翻弄される人を描いたものは、やや難解な部分もあります。(それは登場人物が多い場合、彼女のキャラの書き分けがイマイチ、わかりにくいからであります…)。で、この時期、おすすめしたいのがコレ。
 「百物語」というタイトルからわかるように、江戸を舞台とした怪談の短編を集めたものです。でも、必ずしも幽霊とか妖怪の話ではありません。ドッペルゲンガーであったり、異空間への旅であったり、狐につままれたような話であったり。「世にも不思議な物語」や「トワイライト・ゾーン」のようなストーリーが多いです。「キャ~~~~!」というビックリ的な怖さではなく、ちょっとゾクッとするような感じです。
 この本の面白さのひとつに「日本的なところ」があげられると思います。「不思議な体験をするけれど、その結果が描かれていない」というのが面白い。例えば、「夜な夜な蔵の壁から手が生えてくる。昼にはそれが消えている。とても美しい手である。あるとき、その手に庭に落ちていたざくろを持たせてみた。翌日から手はでなくなった…」。ざくろをのせるほうものせるほうですが、妻には「なぜその手を切り取らなかったのか」と聞かれる。しかもその手が何だったのか、なぜ出てこなくなったのか、まったくわからないまま話が終わるんです(笑)。ね、不条理でしょ? 
 ほか「産女の話」といった京極夏彦的な話や、「鮒女房の話」といった「まんが日本昔ばなし」的なストーリーなど、どれもヒヤリとするけれどどこか民話的でのんびりしている話がたくさんあります。ぜひぜひ、読んでみて。ソンはないですよ。

ほか、彼女の作品には面白いものがたくさんあるので、また折をみて書きたいと思います。

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